動くカナダと米国の経済製作、日本人への影響は少ないか

11月6日にオバマ大統領はカナダの油砂から採取された原油をアメリカに運ぶパイプラインの建設許可申請を却下すると発表しました。

11月末にパリで行われる国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議に向けて、国際社会的な立場をアピールすることを優先したとのことです。この決定はパイプラインの建設を推進して来た立場の共和党からは反発され、次の大統領選の争点の一つとなるだろうと言われます。カナダと米国の雇用を作ることとエネルギー産業の発展を考えて、共和党は推進していました。ですが、温室効果ガスの排出等の問題から反対が続いていたため、この是非はオバマ就任から7年間も保留となっていました。

7年経って、やっとの決断とういのは、必要以上に長い期間を要した感じがしますが、決断する大統領の立場に立てば、先延ばしするしか無かった気持ちはよく理解できます。賛成でも反対でもどちらの立場でも、それぞれ正当な主張があるのが常であり、このような問題は、どちらが正しいか間違っているかの答えは時がたっても解らないことがほとんどだと思います。今回の場合は、簡単に言い表すと、雇用創出や産業発展よりも、環境問題を優先した形となりますが、このオバマの決断は素人目から見て、より大きな大義のために目先の利益を捨てたような形に思えました。

なおこの件に関して日本企業や日本人被雇用者への影響は小さいと見られています。

10月19日に行われたカナダ総選挙により、10年ぶりに政権交代がなされジャスティントルドーが首相になりました。11月の各メディアでの記事では、トルドーは、反テロ法の改正の他、F35戦闘機の購入中止、IS空爆への不参加等を主張していて、また、社会保証、国連等への参加の活性化、人道的な外向、包括的な国家を目指しています。同記事では、その政策はカナダのアイデンティティ、価値観に戻るものだと述べていました。逆に今までのハーパー政権は、その反対でカナダの本来のあり方、アイデンティティに反するものであったというわけです。

ところが、実際にはそのカナダのアイデンティティにそぐわない政治が10年も続いたというのは、私としては理解し難いことです。カナダのアイデンティティとは一体何なのかというところも問われると思います。しかし、アイデンティティとは、そのもののあるべき姿のこと、あるいはそのものの正体性だと個人的に解釈しているので、アイデンティティという言葉を安易に使うことが良いことなのかどうかが非常に疑問に感じました。